「エネ環戦略」閣議決定せず
政府は2030年代に原発稼働ゼロを目指すとした
「革新的エネルギー・環境戦略」の閣議決定を見送った。
トホホな感じであります。
19日の閣議で決定した全文はこちらであります。
閣議決定とは
予算案、法案の国会提出、条約公布など国政の重要事項について、内閣全体で意思決定すること。決定事項はそのまま政府方針となり、すべての閣僚、府省は従わなくてはならない。政権が代わっても、新たな閣議決定をしない限り、拘束力は続く。
ということらしく
「30年代に原発ゼロ」は閣議決定しなかったので、政権が変われば拘束力は無い
ということになるようなのです。
けど、野田首相は報道ステーションで
「30年代に原発ゼロはぶれない目標」と力説しておりました…
「国民の声を踏まえて30年代の原発ゼロを目指すというのはぶれない目標で、閣議決定している。大方針と今後のプロセスは間違いなく閣議決定したとご理解いただきたい」。野田佳彦首相は19日のテレビ朝日の番組で、戦略の文書そのものを閣議決定しなかったことで「原発ゼロが後退した」との見方が広がっていることに反論。閣議決定した文書では「戦略を踏まえて、エネルギー環境政策を遂行する」としており、あいまいさはないとの考えを示した。
枝野幸男経済産業相も19日の記者会見で「(戦略を決めた)14日の段階で、この形式だと聞いていた。(米国などからの圧力は)働いていない」と述べ、原発ゼロ方針がぶれた結果、閣議決定を見送ったとの指摘を否定した。(2012.9.20毎日)
しかし、世間はそうは捉えるはずもなく
野田政権が、原発ゼロを目指す新しいエネルギー戦略の閣議決定を見送った。
まことに情けない。(朝日社説)
首相に原発稼働ゼロを実現する強い決意があるのなら、こんな結末にはならなかったはずだ。(東京社説)
こんな決着では、「原子力発電ゼロ」を見直すのか、それとも強行するのか、あいまいだ。(読売社説)
両サイドから叩かれております。
閣議決定文に、原発ゼロ▽新増設はしない▽運転期間を40年に限るルールを厳格に適用する − との方針が盛り込まれなかったことが、「原発ゼロ目標が揺らいでいる」との見方につながっているのも事実だ。
原発ゼロを批判していた長谷川閑史・経済同友会代表幹事は19日の記者会見で「(原発ゼロ撤回の)余地を残したことは良かった」と述べた。経団連の米倉弘昌会長は記者団に「原発ゼロを回避できた」との認識を示した。(2012.9.20毎日)
と、財界の思惑通り。
この先、どうなるのかというと
今後は、将来の日本のエネルギー政策の道筋を定めるエネルギー基本計画の行方が焦点となる。新戦略の理念を基に具体的な政策を示す基本計画は閣議で決定する必要があるためだ。
政府は10月上旬にも計画をとりまとめる方針だった。しかし、基本計画を議論する経産省の総合資源エネルギー調査会基本問題委員会で18日、委員長を務める三村明夫・新日本製鉄会長は「政府の方針があいまいなままでは、議論ができない」と、とりまとめ作業を中断する意向を表明した。
新戦略では、再生可能エネルギーの普及や地球温暖化対策などについての具体策を今年の年末以降にまとめると予定してるが、基本計画自体が決まらない状態では、原子力政策のあり方など課題がさらに棚上げされる可能性もある。(2012.9.20読売)
う〜ん。
脱原発にせよ原発維持にせよ、何でこう議論がしっかりぶつかり合わずに
ズルズルと物事が推移してしまうのだろう…